らぶっ!ゆるかわ男子
なかなか気持ちの一歩が進まない私に皆小さな溜め息を零した。
あぁ、私って本当に駄目な女だな…。
名前の一つも呼べないだなんて。
自分でも呆れるよ。
ふぅ…と息を漏らすと真里が祐吾くんに、祐吾くんが拓哉くんに、拓哉くんがゆうちゃんに、ゆうちゃんが煌くんにと耳打ちをしていった。
「………?」
何を話してるの?
「華衣っ」
「はっ…はいっ」
突然強く呼ばれて咄嗟に背筋を伸ばして真里を見た。
真っ直ぐに見つめてくる真里の目に若干圧倒される。
「あたしたち帰るから」
………………は?
いやいや。何で帰るのさ。唐突すぎでしょ。
しかもこんな微妙な空気で帰るなんて酷い。ていうか皆帰るなら私も…っ。
ゾロゾロと机にあった教科書やらノートを片付けて玄関に向かう真里たちを追うと
「あ、華衣は帰っちゃ駄目だからね」
と、あっさり笑顔で言われた。
…何で。
私は帰っちゃいけないの!?