それは、恋よりも甘く
(う、わ…)
女と、目があった。
涙で潤んだ目、紅潮した頬。
目が、放せなかった。
俺に、助けてと求める目。
助けて下さい…
口パクだったのか、声が聞き取れなかっただけか、
それはわからないが、女が俺に向かってそう言った事は確かだ。
(助け、ようか…。)
一瞬そう考えた自分に、びっくりした。
こんな事思うなんて、普段じゃ有り得ない。
…さっきから、心臓がウルサい。
自分がわからなきなって、俺は慌てて家に入る。
…なんだったんだ、今の女。
まだ、心臓は鳴り止まなくて。
俺は全てを流すように、コップの水を一気に飲んだ。