そら

出会い





―――――――2009年 秋




「内嶋先生!」


誰もいない静かな廊下に
透き通った綺麗な声が響く。



「あ…あの、お、お話があるんですけど、、、」


「なんですか?」

声を掛けてきたのは看護師だった。

彼はちらっと横目で彼女を見て
目線をまた戻した。





「~~っっ、
わ、私内嶋先生が好きです!
あの、もしよかったら…」


「すみません」



この続きは解っている
最後まで聞く意味はない。

そして彼は目線を変えず


「あなたの気持ちには答えられません。
僕には心に決めた人がいますから。」


彼女にこう言い放った。



看護師は涙を流し
その場を後にした。



彼は彼女と話している間
ずっと遠い空を見つめていた。






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