アタシ×キミ
「ねえ、」
その男はさっきより軽い口調で
話しかけてきた。
「なんですか?」
だから、さっきよりそっけない
態度であたしも返事する。
「これ、あんたのために
わざわざかけたんだけど。」
「はっ?」
いやいや意味分かんない。
誰も頼んでないし。
つか知らない人だし。
だから何?みたいな。
そもそも...誰?
「はっ?ぢゃなくて、俺が
あんたをここまで運んで
このブレザーかけたの。」
嘘!?そうなの!?
「あ、そうだったんですか!?
すみません、倒れてからの
記憶があんまりなくて...
ホントありがとうございました。」
あたしはこれまでにないくらい
深々と頭を下げた。
ヤンキーは卒業なの。
お礼ぐらい言えるもん!