蒲公英
大学に入ったばかりの僕らの中で、沙羅は一際輝いていた。

少なくとも、一目見たときから僕は彼女の虜だった。

話しかけるタイミングを窺ってストーカーまがいのことをしていた。

そんな僕に、沙羅はあの場所で言ったのだ。




「蒲公英は好き?」




しゃがみ込んで蒲公英を見つめたまま、隠れて覗いていた僕に気づいていた。




「え?」




僕は思わず声をあげ、沙羅に歩み寄った。




「最近よく会うよね。同じ大学の人?」

「あ、あぁ」




話したいとずっと思っていたはずなのに、僕はその状況が信じられずに歯切れの悪い口調で答えた。

沙羅は僕のストーカー行為を純粋に偶然だと思っていたらしい。
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