蒲公英
Erinnerung
―――――
―――
――
うちの大学で来栖稀沙といえば結構な有名人だった。
たいした偏差値の学校ではなかったけれど、それでも首席合格者といえばかなりのものだ。
そのうえ容姿も抜群に綺麗だ。
才色兼備の高嶺の花として、稀沙は男たちの注目の的、そして同時に女たちからは疎まれる存在だった。
当時沙羅しか見えていなかった僕の視界に唯一割り込んできた女性が稀沙だった。
周りの視線のせいか、いつもひとりで講義を受ける彼女をつい目で追った。
講義中あてられる他、彼女が声を発するところさえ僕は見たことがなかった。
友人なんてつくるつもりさえないようだった。
そんな稀沙を僕らのもとに連れてきたのが沙羅だった。
「友達になったの。一緒にご飯食べよ?」
初めて話したときと同じ、壁なんて欠片もない笑顔だった。
沙羅はいつもその笑顔で僕の人生を変えていく。
きっと稀沙もそんな沙羅に変えられたのだろう。
稀沙は沙羅に誰よりも心を開いていたし、彼女に魅せられた僕に誰よりも共鳴してくれた。
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うちの大学で来栖稀沙といえば結構な有名人だった。
たいした偏差値の学校ではなかったけれど、それでも首席合格者といえばかなりのものだ。
そのうえ容姿も抜群に綺麗だ。
才色兼備の高嶺の花として、稀沙は男たちの注目の的、そして同時に女たちからは疎まれる存在だった。
当時沙羅しか見えていなかった僕の視界に唯一割り込んできた女性が稀沙だった。
周りの視線のせいか、いつもひとりで講義を受ける彼女をつい目で追った。
講義中あてられる他、彼女が声を発するところさえ僕は見たことがなかった。
友人なんてつくるつもりさえないようだった。
そんな稀沙を僕らのもとに連れてきたのが沙羅だった。
「友達になったの。一緒にご飯食べよ?」
初めて話したときと同じ、壁なんて欠片もない笑顔だった。
沙羅はいつもその笑顔で僕の人生を変えていく。
きっと稀沙もそんな沙羅に変えられたのだろう。
稀沙は沙羅に誰よりも心を開いていたし、彼女に魅せられた僕に誰よりも共鳴してくれた。