蒲公英
「神野」




なおも続いている押し問答に、呆れたマスターが口を挟む。




「好きな女を抱きしめてやるのに理由なんかいらねぇぞ」




大樹の中で収集のつかなくなった葛藤を解き放してやるような言葉だった。




「だって!!俺だって、できるならそうしてぇんだよ!」




ため込んだ想いを大樹は一気に吐きだし始める。




「でも、自信ねぇんだもん。あかりに好かれてる自信…、ずっとなかった」






出会ってから、9年分の想いだった。
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