蒲公英
Gegenwart Ⅲ
式まで二週間をきった。

様々な雑事に追われ、河南子は僕の家に入り浸りだった。






だが決して泊まっていくことはない。

遅くなる前に必ずそろそろ送ると帰りを促す僕を、河南子はいつもなにか言いたそうな瞳で見つめていた。






でも言いたいことなんて分かりきってるし。

応える気のない僕は、どうせ気まずくなるだけだと気づかないふりを貫き通した。











その日も会社から帰宅すると河南子が家で待っていた。




「また家具の話?」




今日は約束していなかったはずだ。

すっかりうちの母親と台所に収まっている河南子に僕はげんなりと言った。




「ちがうわよ。たまにはゆっくり会いたいなぁと思って。…だめだった?」

「いや、別にいいけど」




僕の了承を得て、河南子はうれしそうに微笑んでいる。




「部屋に行くんでしょう?私、お茶を持っていくわ」

「あぁ」
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