蒲公英
Erinnerung
―――――
―――
――

つきあい始めて2年も経っただろうか。

僕はついに沙羅から一日たりとも離れていられなくなり、彼女の家に住みついた。

沙羅の両親は彼女が高校に進学すると同時に海外へ行ったきりだという。






でもおかげで僕は幸せだった。

家の中でなら、いつでも自由に沙羅を抱くことができた。






沙羅が拒むことはほとんどなかった。

毎晩飲んでいたので、酒のせいもあったのかもしれない。

だけど沙羅は求める僕にしょうがないなぁと笑い、首に手を回してくれた。






沙羅の姿が僕の視界から消えることはめったにない。






朝目覚めれば低血圧の彼女はまだ夢の中で。

共にでかけ、共に帰り、沙羅のつくったご飯を食べる。

僕もときどき台所に立って、いつまで経っても上達しないじゃがいもの皮剥きをしてみたり。

不格好な肉じゃがを笑いあって箸でつつく。






…幸せな日々だった。
< 61 / 113 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop