蒲公英
そしてなんといってもこの場所だ。

この中庭で、僕らはよく空き時間に駆け回り、本当にいろいろなことを語り合った。

足元に咲く蒲公英が…、今日も変わらず眩しかった。




「なぁ。せっかくなんだからもっと楽しく話せねぇの?」




耐えきれずに僕は言った。

みんな口数も少なく、気まずい雰囲気が漂っていた。




「…できるかよ」




未来の声は低かった。




「なんなんだよ、いったい。なんで今さらここに来る必要があるんだよ!」






「…俺が俺でいるために」






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