蒲公英
「手遅れよ」
だが稀沙の冷めた一言が僕を現実へと引きずり戻した。
「式は明日よ?今さらキャンセルして彼女を傷つけるの?」
「でもっ!」
「じゃあ沙羅の気持ちはどうなるの!?そんなの沙羅が望むわけない!」
なおも言い募ろうとした仲間に稀沙の言葉はやはり厳しい。
冷静に考えればわかることだ。
儚すぎる夢だった。
期待はただの妄想だと…。
僕は自分がなにをしに来たのか思いだした。
「湧己?」
「…ごめん」
そっと春日を引き離す。
まだ涙をとめられずにいる彼女を未来が抱きとめてくれた。