うそでも良いから欲しい言葉
『…ああ、まあな。今から帰って来れるか?』

「用事は全部済ませましたので戻れますが…。時間がかかりますよ? 急用なら、今伝えてもらえれば」

『いいからとっとと帰って来い!』

ブチっ!

「っ!?」

いきなり電話を切られた。

なっ何があったか分からないが、とりあえず急いで戻ろう!

…と思っても電車の都合があり、学校へ着いた時には1時間が経過していた。

怒っているだろうか?

あの電話の調子では…怒っているな、確実に!

何はともあれ、生徒会室へ向かった。

春休みでも部活動は行っており、しかし私服は目立った。

「会長? 遅くなってすみません。どうかしましたか?」

生徒会室の扉を恐る恐る開けると、予想に反して、落ち込み気味の彼が、制服姿で座っていた。

「…遅い」

「すみません。電車の時間が上手く合わなくて…。ところで何があったんです? 今日は生徒会の用事は無い日だと思っていたんですけど…」

もしかして、春休みだからと生徒達が問題でも起こしたのだろうか?

落ち着かない気持ちで、彼の側へ寄った。

すると彼はいきなり立ち上がった。

「うわっ!?」

驚いて後ろに下がるも、腕を引っ張られ、顔を近付けてきた。

そして彼の薄く開いた唇からこぼれた言葉は…。

「好きだ」

「…えっ?」

眼を見開いた。

今…あの言葉が聞こえた。

彼の口から、ハッキリと。
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