うそでも良いから欲しい言葉
…お返しのウソ?

確かに一方がイベントをしたのに、もう一方は何もしないというのは、キツイだろう。

だったら…良いウソがある。

僕は真っ直ぐに彼の眼を見つめた。

「ウソ、ですよ」

「何が?」

「あなたを好きだというのは、ウソです。本当はキライですよ、あなたなんて」

イヤというほど僕の気持ちを知っている彼なら、笑い飛ばしてくれるだろうと思った。

けれど次の瞬間、彼の顔は真っ赤になった。

「ふっふざけるな!」

ガッ!

「うっ…!?」

なっ殴られた? なっ何故!?

「どっどうして殴るんですか? お返しのウソをついたのに!」

「言って良いウソと悪いウソがあるだろう!」

「あなただって、本当なら許されないウソついたじゃないですか! 僕の気持ちが変わらないのを、知っているはずでしょう?」

「えっ? 変わらない?」

「変わりませんよ! 変わるはずないでしょう? だからあなただって、あんなウソを言ったんでしょう!」

「そっそれは…」

…何なんだ? 最近、彼の様子がおかし過ぎる。

この間、エイプリルフールのことを話題に出してからだと思うが…。

アレはあくまでノリだと感じていた。

告白ぶりに交わした言葉だったから…信じていないんだと思っていた。

…いや、避けられたと感じた。

しかし目の前の彼は、言いづらそうに視線をさ迷わせながら、何度も口を開けたり閉じたりしている。

「おっ俺がお前のこと、どう思っているか分かっているのか?」
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