ワタシという宝物
9月。

ワタシは初めて降り立った駅の前でケータイと睨めっこしていた。



ブー…ブー…ブー…

【着信:ナギサ】


「もしもし?」
恐る恐る通話ボタンを押す。

『もしもし?サナちゃん?ナギサだけど。
どこにいる?もうすぐ駅に着くよ?』

「もう駅の前にいるよ!えーっと…コンビにが線路の向こう側にある」

『あー、わかった。どんな服着てる?俺は赤い革ジャンにジーンズ』

「ピンクのニットで、デニムのミニスカート」

『あ!わかった。』



そして電話が切れ、


知らない男の子が近づいてきた。

『サナちゃん?…だよね?はじめまして。』
「はじめまして!!」


ワタシはとにかく話しまくった。
人見知りのくせにこんなことをして、
緊張しまくって、そのときのことは全く覚えていない。


ワタシがマシンガントークを終えるころ、
小さなアパートの小奇麗な部屋に通された。
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