紙ヒコ―キ
「冗談だよ。そんなに怒んないで。」
そんなあたしの視線に、杏里が笑って言う。
「もうっ!!」
あたしは杏里の肩を軽くたたいた。
……でも。杏里がそんな事を考える人じゃないって、ちゃんと分かってたよ。
じゃあ、何でそんな事言ったの?
そう言おうとしたけど、あたしは口を閉ざした。
「ごめんって。…でも、行ってきなよ。」
真剣な目をして、杏里が言ったから。
「行って無駄はないと思うから。向こうが会いたいって言ってるんだしさ。…もしかしたら、何か宮地葵の事を聞けるかもしれないよ?」
そ、っか……。
杏里の言うとおりだ…。
「…分かった、行ってみる。」