紙ヒコ―キ



「お迎えにあがりました。…どうぞ。」





そう言って、男の人は車の扉を静かに開けてくれた。





「あ、あの…宮地さんですか…?」





一応…訊ねてみる。





だって。もし違ってたとしたら…。






初めて会った人だし。聞いてもいいよね?





そう思っていると、また頭を深く下げられた。





「…申し訳ありません。何も言わずに、お嬢様を車に乗せようなんて。私は、宮地真里子(まりこ)さんの秘書です。先日、お会いしたとお聞きしました。そして、代わりに迎えに行くように、と頼まれてここに来ました。」





あぁ、やっぱり…。





理由を知ったあたしは、ホッとして溜息をつく。





てか、お嬢様って…あたし初めて言われたんだけど。





あ、でも……。



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