紙ヒコ―キ




「…ありがとう。そう言ってくれると、嬉しいわ。あの…葵の話、聞いてくれる?」





「……はい。」





あたしは知りたくて、頷いた。





「葵はね、中学生の時は、よく笑う子だったの。学校の皆とも仲が良かった。特に、女の子からは人気があったみたいで。告白とか多かったらしいの。だけど、葵は全部断っていたわ。“付き合う”っていうのは、興味なかったんだって。」





そうなんだ…。





中学のとき、宮地葵は笑ってたんだ…。皆と仲良かったんだ…。





だったら、告白なんてしょっちゅうだったよね。うん。





分かってた。ちゃんと分かってたけど…悲しい。苦しい。





そんな事を思ってるなんて知らない真里子さんは、続きを話し始めた。





「……だったんだけど、1人の女の子を本気で好きになったらしくて。同じクラスの子だったの。相手はちょっと地味な女の子で、内気だったみたいだけど、付き合うことになったのよ。

……でも。」





真里子さんは、そこで言葉を止めて。





悲しそうに、寂しそうに、……笑った。




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