紙ヒコ―キ
「…よしっ!行ってきます!!」
自分に喝を入れて、あたしは杏里に手を振る。
「いってらっしゃい!!」
笑顔の杏里に見送られて、あたしは学校を出た。
――――……。
毎日通ってる家の前。
また溜息が零れそうになるのを必死でこらえて。
目の前にあるインターホンを押した。
………。
扉が開く気配はない。
あの女の人が、あたしに扉を開けてくれることはない。
あたしって事が分かってるから、出ないんだよね。
きっと…家にはいると思うんだけど。
どうして…話も聞いてくれないのかな…。