紙ヒコ―キ



…でも、今が話を聞いてくれるチャンスなんじゃないか、って思った。





「…あなたの言いたい事も、分かります。」





「あなたに…何が分かるっていうのよ…」





「…あたしは、お母さんを殺されたから。」





「!!!」





あたしの発言に、驚く女の人。





だけど、あたしはそれを無視して話を続ける。





「お父さんが、殺しました。」





杏里以外に話すのは、初めてかもしれない。





「ケンカして…お父さん怒っちゃって、包丁で…。あたしはその時、押し入れに閉じ込められてました。お母さんの苦しそうな声が聞こえた。あたしが押し入れから出たら、そこは血で染まっていました。」





自分の体が、震えている事は分かってた。





…でも、ここで話を止めたらいけない気がした。




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