紙ヒコ―キ
「いつも優しくて、娘を守ってくれていた。…なのに、守ってほしい時に守ってくれなかった。そう思うと、全部が憎しみに変わっていったわ。」
女の人も…苦しんでいた。
宮地葵を、許す事が出来ない自分に。
「…娘はきっと、こんな母親で悲しんでるわ。もう、私は許さなくちゃね。」
そう言った女の人は、笑っていた。
「今まで、傷つけてごめんなさいね。私、ちゃんと前を向くわ。あなたのおかげよ、ありがとう。」
「い、いえッ!!」
「本当にごめんなさい。」
深く頭を下げられて、あたしは慌てる。
…謝れるのって、すごくニガテ。
「い、いいんですっ!宮地葵の事、許してくれたなら…それで。」
あたしがそう言うと、女の人は顔を上げて、微笑んだ。