紙ヒコ―キ



「あ、1つだけお願いがあるんだけど…」





「……??」





首を傾げるあたしに、女の人がそっと近付く。





そして、その“お願い”をあたしは聞いた。





「……良いかしら?」





あたしは思いっきり頷いた。





「本当にありがとう。あなたに会えて良かった。」





「そ、そんなっ…」





「いいえ。自信を持っていいわ。…じゃぁ、そろそろ失礼するわね。」





「あ、はい!ありがとうございましたっ!!」





「気をつけて帰ってね。」





そう言って手を振る女の人に、あたしも手を振った。





……今日は、すごくいい日だったな。





そう思うあたしを、オレンジ色の光が照らしていた。




< 168 / 275 >

この作品をシェア

pagetop