紙ヒコ―キ
……あれ?
前の席を見つめる。
…いない。宮地葵が。
いつの間にいなくなったのだろう。
そんな事を考えていると、教室に入って来る宮地葵の姿が見えた。
「!!!」
…目が、合ってしまった。
あたしは慌てて視線を逸らす。
ドキドキと心臓の速さが加速してゆく。
宮地葵は静かに歩いて来て、何も言わずに席に座った。
あたしは宮地葵の背中をじっと見つめる。
栗色の明るい髪。背中はとても大きい。
……ねぇ。
あの『紙ヒコ―キ』を飛ばしたのは、あなたですか?
目の前にある背中に、あたしは心の中で問いかけた。