紙ヒコ―キ
「あたしは、おばあちゃんと一緒に暮らす事になって、この街に引っ越してきたの。…だから、友達とか全然いなくて。ほとんど不登校って感じだった。…学校に行く気になんて、なれなかったから。」
…人と関わるのが…怖くて仕方なかった。
「でもね、そんなあたしの所に、毎日来てくれる女の子がいたの。初めて彼女に会ったのは、教室だった。いつも笑顔で、周りにはたくさんの友達がいる子で。そんな子が、あたしに話しかけてきてくれた。……なのに、あたしは、無視した。」
きっと…すごく傷付いたと思う。せっかく話しかけて来てくれたのに…無視するだなんて、本当に最悪だよね。でも、その時のあたしは、そんな余裕なんてなかった。
「毎日、必ず家に来るの。それであたしの部屋で、おしゃべりして帰って行くんだよね。会話してるワケじゃない。彼女が一方的にあたしに話してるだけ。…毎日だよ?」
あたしが黙って下向いてるのに、彼女はニコニコと楽しそうに笑って話すんだ。
何でそんなに笑えるの?って、いつも思ってた。
「学年が一個上に上がっても、来てくれてた。そんな彼女に、少しずつあたしも心を開いていくようになって…。仲良くなった。」
きっと今のあたしがいるのは、彼女のおかげ。
彼女がいなかったら、あたしは今も、笑えてないと思う。