紙ヒコ―キ



「もう…いいよ。」





あたしは小さな声で呟いた。





だって…。葵が辛いと、あたしも辛いもん。





葵は、あたしの言葉に首を振った。





「だけど、アイツは自殺した。守ってやるって言ってたのに、それは言葉だけで、結局アイツを守ってやれなかった。俺と付き合わなければ、アイツは…」





「違う!!」





あたしは思わず大きな声を出した。





「彼女はきっと…後悔なんてしてない。だって、言ってたの。彼女のお母さんが、“いつも娘は幸せそうに笑ってた”って。それって…葵の事、本当に好きだったんだと思う。」





「………」





「もう苦しまなくていいよ。彼女は…葵を憎んだりしてないと思うから。」





< 207 / 275 >

この作品をシェア

pagetop