紙ヒコ―キ
伝えたい気持ち
…女の人の“お願い”を無事に果たして、あたし達は電車に揺られる。
お互い無言だったけど、それは心地の良い空間だった。
葵は、あたしに心を許してくれたかな。
勝手なことして、怒ってないかな。
…そんな事を思いながら、あたし達は電車を降りて歩き出す。
あたし達は、お互い何も言わずに近くの公園に入った。
そして、ベンチに並んで座る。
すると、今まで黙っていた葵がゆっくりと口を開いた。
「…俺、ずっと1人でいようって決めてたんだ。お前と同じように、人と関わるのが、怖かった。また、傷付けてしまうんじゃないか、って…。でも、お前に出会って、その考えは変わったよ。」
え……?あたしと出会って?
「お前の最初の印象は最悪だったけどさ。突然名前叫ぶし。」
そう言って、葵がフッと笑う。
うっ……。それ、まだ覚えてたの?忘れてほしい……。
恥ずかしくなって、下に視線を落とす。
「でも、今は違う。会えてよかった。」
うそ……。あたしに会えてよかった、って思ってくれてるの?