紙ヒコ―キ



――…今日は、葵と一緒に帰る事になった。





他愛ない話をしながらの、楽しい帰り道。





好きな人と一緒に帰る、って夢が叶った。





葵の温もりを、傍で感じる。





…この時だけは、葵をあたしだけのものに出来る。





ずっとあたしだけ見ててくれたらいいのに。





…なんて、独占欲強すぎだよね。





そんな事を心の中で思っていると、葵があたしをじっと見つめてきた。





「な、何っ…?」





あまり見つめないで。慣れてないから恥ずかしい。





すると、葵が衝撃的な言葉を口にした。





「今日、黒川(くろかわ)に頭撫でられてただろ?」





「……、へっ?」





……黒川?





…あー、見られてたんだ。





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