紙ヒコ―キ
あたしは訳が分からなくて、葵の腕の中でもがく。
「…大人しくしろ。」
そう低くて甘い声で囁かれて、あたしの動きは止まった。
「ど、どうしたの?」
突然抱きしめてくるなんて。
葵の行動って、いつも突然だよね。
「お前………なよ。」
ん…?何て言った?
声が小さくて、聞こえなかった。
「ごめん、もう一回言って。」
葵を見上げてそう頼むと、大きく溜息をつかれた。
そして、体を離してあたしを見つめる。