紙ヒコ―キ



「他の男に、触られるなっつってんの。」





今度はハッキリと届いたその声に、あたしは固まった。





…ねぇ。それって……ヤキモチ?





「見てるとイライラすんだよ。」





そう言った葵の顔は歪んでいて。あたしの胸がキュンと鳴った。





「!!!」





葵に、触れるだけのキスをした。





…気持ち、届いてくれないかな。





勇気出して、あたしからキスしたんだもん。





葵の驚いた目が、いつも通りに戻った。





「ビックリした?」





「…あぁ。すっごく」





そりゃそうだよね。あたしからとか、初めてだし。





あたしの心臓の音、葵に聞こえてるかもしれない。





「お願いだから…、苦しそうな顔しないで。」





あたしは小さな声で呟いた。





< 223 / 275 >

この作品をシェア

pagetop