紙ヒコ―キ
「…お邪魔します。」
「どうぞ。」
葵を家に入れる。家には、誰もいない。
おばあちゃんは、今旅行中。
今まで、あたしのせいでどこにも行けなかったおばあちゃん。
もうあたしは大丈夫だから、おばあちゃんも楽しく生きてほしいって思った。
おばあちゃん、今までごめんね。
そして…本当にありがとう。
「…この人、映未の母さん?」
後ろから聞こえた葵の言葉に、あたしの体の動きは止まる。
だけど、心臓の速さだけは加速してゆく。
どうしよう…何て言われるのかな…。
ゆっくりと振り返ると。葵は優しく笑った。