紙ヒコ―キ




あたしが泣き止んだのを確認すると、葵は仏壇の前まで行って静かに座った。





「……え」





あたしは動けないまま、ただ葵を見るだけ。





葵は手を合わせて、目を閉じた。





……ありがとう。ありがとう、葵。





その言葉しか、今は出てこなくて。





あたしの所に戻って来た葵に、思わず抱きついた。





「……ありがとう。」





「……ん」





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