紙ヒコ―キ




「適当に座って。」





あたしは葵にそう言って、窓際の机に向かう。





そして、引き出しの中の、大切な物しか入っていない箱を取る。





箱を開けて、ずっと大切にしていた“ソレ”を持って、葵の元へと向かった。





「……これ」





そう言って、葵の前に差し出した。





「…紙ヒコ―キ?」





首を傾げて不思議そうにする葵。





「そう。紙ヒコ―キ。」





あたしは葵の隣に静かに座った。




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