紙ヒコ―キ
「俺…。お前がいなかったら、まだ笑えてねえと思うからさ。」
そう言って、あたしをギュッと抱きしめる。
「母さんから聞いた。ずっと、アイツの家に通ってたんだろ?」
“アイツ”が誰なのか、言われなくてもすぐに分かった。
ズキッと胸が痛む。
葵は、もう…彼女とのこと、過去にしてる?
今は……あたしだけを、見てる?
「すげえ嬉しかった。…俺の事、そんなに想ってくれる人がいるんだって、思った。」
葵の嬉しそうな声に、ホッとする。
今更だけど、“勝手な事すんな”って、怒られるかもしれないな…って思ってたから。