紙ヒコ―キ
距離
「おっはよー!」
あたしが待ち合わせ場所に来ると、いつものように駆け寄って来る、杏里。
「おはよ。」
あたしも、いつものように笑い返す。
普段と同じ、平日の朝。
…なハズなのに、いつもと違うと感じてしまうのは、昨日の出来事だ。
――あの後、あたしは、宮地葵に『送る』と言われて家まで送ってもらった。
お互い無言で、宮地葵はあたしの家に着くと、何も言わずに帰って行った。
…あたしのした事がいけなかったのかな。
怒らせちゃったかな。
なんて考えると、眠れる事が出来なくて。
…一睡もしないまま、朝を迎えてしまった。