紙ヒコ―キ
「それで、逃げてたら…人にぶつかって」
「宮地葵だったの?」
杏里の言葉にコクンと頷いた。
「一緒に走って逃げてくれて…、助かったの。」
思い出すだけで、体に震えが走る。
でも、その後の宮地葵の手の温もり……。
それを忘れる事は、きっと出来ない。
「…怖かった、でしょ?」
その声が聞こえたと思ったら、あたしは杏里に抱きしめられていた。
「暗い所に、1人でいるなんて。…あの日みたいに」
「……ッ!!」