紙ヒコ―キ
屋上へと続く、重い扉を開けて、あたしは進んでいく。
大きな柱の角を曲がった時…
「っ…」
下を見ていたあたしと、上を見上げていた宮地葵の視線が、ばっちり重なった。
あたしはパッと視線を横に逸らす。
ドキドキ、ドキドキ…とうるさい心臓。
「「………」」
2人とも、無言。
宮地葵は、あたしが話しだすのを待っているはず。
ただお礼を言えばいいだけなのに、それさえも言えない。
うじうじしてたって、なんにも変わんないよね…。