紙ヒコ―キ
彼の過去 Part 1
朝だ!と知らせる大きな音が部屋中に鳴り響いて、あたしは目が覚める。
ダルい体をゆっくりと起こす。
手を伸ばして目ざましをとめて、半分寝た状態で制服に着替える。
意識もはっきりしてきた頃、部屋を出て、リビングへと向かう。
その途中で、笑顔で映っている人の写真は見なかった事にして。
「おはよ、おばあちゃん。」
「おはよう、映未」
優しく笑うおばあちゃん。
あたたかいおばあちゃんの手料理を食べる。
――あの日から……
ずっとずっと…それが当たり前だった。
ズキッ…と胸が痛む。
いつまでもあたしが弱かったら、おばあちゃんはきっと困るよね…。
今までだって、いっぱい迷惑かけちゃったもんね。
あたしを守ろうと、いつも頑張って来てくれたおばあちゃん。
そんなおばあちゃんに、あたしは恩返しが出来てない。