紙ヒコ―キ
宮地葵に近付いて、そう小声で言う。
宮地葵は“何で?”と言いたそうな顔をして、あたしを怪訝そうに見ている。
…でも、ここでモタモタしてる時間なんてない。
「いいからっ!」
そう言って、あたしは宮地葵の腕を力いっぱい掴んだ。
宮地葵が席から立ちあがる。
あたしは眉を顰めている彼を無視して、教室を飛び出した。
どこに行こう…?
何も考えずに連れてきてしまったけど……。
一年の廊下には、まださっきの先輩たちの姿は見えない。
屋上、に行こうかな。