メリーさんの長電話
『ウチまでの道のり大丈夫? 迎えに行こうか?』


「だ、大丈夫です」


『やっぱ下調べとかしてんの?』


「そういうのじゃなくて…なんとなく、わかるっていうか」


『へー、便利だね。ナビいらずじゃん』


「ナビ?ってなんですか?」


『道案内してくれる機械』


そういうのあるんだ。


『ていうか、今ケータイからかけてるんじゃないの?』


「あ、はいそうですけど」


『じゃあそのケータイにもついてるんじゃないかなぁ、ナビ』


「そうなんですか?」


『あぁでも、メリーさんがどういうケータイ使ってるんだかわからないや』


「わ、割と新しいやつ、です」


『そうなんだ、じゃああるかな。ていうかケータイない時代どうしてたの?』


「電話切れるたびに次の公衆電話に移動してました」


『地味に頑張るねそれ』


「えっと、電話から電話に瞬間移動できるんで」


『便利! いいなー。あ、じゃあ今もしかして歩かせちゃってる?』


「あ、はい歩いてますけど…」


『うわー、ごめん気がきかなくて! やっぱり迎えに行った方がいい?』


「大丈夫、です、歩くのも、嫌いじゃない、です」


『そ? でも、女の子が夜に一人で歩くのって危ないでしょ?』


「大丈夫です、周りから見えてませんから、私」
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