空き瓶ロマンス



彼は真剣な表情で、百科事典ほど分厚い本に目を通していた。



時々、何かを呟くように唇が動く。




幸い、こちらには気付いていなかったので、私は歩調を速めて通り過ぎた。





ていうかこんな偶然、本当に勘弁して欲しい。





だが、このまま帰ってしまうというのも負けた気がして嫌だったので、








私は誰も見なかった事にした。





< 332 / 891 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop