空き瓶ロマンス
 


後悔した。
 
そして、追ってメールをしようとした時に、

……船木に携帯電話を掠め取られたのだ。
 
ほんの些細な行き違いが、こんなにも大きな喪失を呼ぶ。

(ああ、あの時……)
 
携帯電話になど頼らずに、自分の足で追えばよかったのだ。

どんなにいなくなろうと、走れば間に合う距離だったはずなのだ。
 
信也は、目を伏せた。
 

いつまでも俺は、愚図なままだ……。



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