空き瓶ロマンス
 


倫子がいなくなってから、修は何となく冷蔵庫を開けてみた。

買い置きの食材は、あまり残っていない。
 
だけど唯一、冷蔵庫の中でスペースを取っているものがあった。
 
大きな保存用のガラス瓶だ。

中には、自分が無理を言って作って貰った、

レモンの蜂蜜漬けが入っている。
 
蓋を開けると、甘い匂いがふわっと漂う。

ワックスが嫌だから、皮を全部剥いたのだと、

倫子が言っていたのを思い出す。


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