空き瓶ロマンス
「……会えなかった、理由なんてもういいじゃん。会えたんだから」
チャーキーが言った。
「恋をするって事は、簡単なことじゃない。
簡単だと思っているなら、それはきっと恋じゃない。ゲームだ。
だけどその思いが、心が、……恋だと言えるのなら、行って来い。
……はーい、あたくしのありがたーいお話はこれにて終了! 今日は解散!」
ぽんと、背中を叩かれた。
体が弾かれるように、前に出た。
踏み出さないでいた、一歩。踏み出す気すら無かった、一歩。
もう皆、変な顔をしていなかった。
好奇の目は、どこかへ消えていた。恋する少女の味方たち。
皆、そういうものに憧れている。
そして、実際には無いと思っていたけどあった圧倒的なものを目の前にして、
スクリーンの前で次の展開を待ち望んでいる映画観賞者みたいに、わくわくと微笑んでいる。
大丈夫だよと。
「ありがと」