空き瓶ロマンス




修と倫子は、彼が育てていい事になった。

しかし、『もう一人』は、別れた妻が連れて行った。

倫子の、『片割れ』を。


「本当に出て行ってしまって、いいのかい……?」

最後に彼は、ふとそんな言葉を呟いた。

すると彼女は今更何を言うの、と言わんばかりに、彼を睨んだ。


彼はもごもごと、家庭には女手が必要だとか、そんな言い訳をして、ああ自分は愚鈍にも程があるなと自己嫌悪した。

大した意味など無かった。

ただ、言ってみただけだった。

しかし、彼女は抱いていた赤ん坊を彼に渡すと、代わりにベビーベッドで寝入っていた赤ん坊を抱き上げ、ヒステリックに叫んだのだった。



「つまり女の子を残していけ、って言いたいのね?

だったら、私はこの子でいいわよ。




それで満足!?」



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