空き瓶ロマンス
………パタ……ペッタン。
ふと、二階から足音がした。階段を下りる音。
………ぺった、ぺった、ぺった。
それが修だと、足音で分かった。
「……まだ起きてんの?」
「お前こそ」
「眠れない」
「父さんもだよ」
修は、ケトルでお湯を沸かして、自分の湯飲みを出した。
「眠れなくなるぞ」
「父さんこそ」
「大人はいいんだ」
「俺だってもう大人じゃん」
「そうか」
修はお茶の粉末を湯飲みに溶いて、そっと口をつけた。
「あちち」
「………」
修は、自分をじっと見つめる父親に、怪訝な視線を送った。
「………何?」