空き瓶ロマンス

チャーキーの告白




÷÷÷÷÷÷÷÷÷

 
ずっと隠しておきたかった大切なものを、自分から引き剥がして、他人にあげた。
 
頑張ったのに、とても苦しかった。

今でもふと、どうしようもない寂しさが込み上げてくる。
 
この喪失感を、何と呼べばいいんだろう?
 

これが、失恋ってやつなのか……。












「あ、やーっぱりここにいたのね、チャコ」

「……何だ、千鳥」
 
昼休み。

キャッツウォークから現れた千鳥は、部室で一人、スポーツドリンクに口を付けていたチャーキーを見て、呆れた様子で言った。


「変な顔しないでよ。

ていうか、ここ寒くない? 教室行こうよ」

「……行かない」

「ふうん。まあ、いいや」
 
千鳥は、封の切られていない購買のパンに、目をやった。

「食欲ないの?」

「うん」

「そう。でもその割には、随分買ったわね。カレーパンばっかり、五個も」

「買い占めた」

「あっそ。でも私、お腹すいてるからお昼食べるよ。悪いけど」

「教室行けよ」

「やあよ」

< 694 / 891 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop