空き瓶ロマンス
「そうかな。……覚えてる?
いつかの合宿の時にさあ、夜中にやっぱ恋バナとかしたじゃん、皆。
その時、チャコ言ってたよね。
もし倫子が誰かと付き合いそうになったら、反対するって。
『俺は一生、この子を守るんだ』なんて芝居がかった口調で言ってたじゃん」
「んー?」
「とぼけてもだめ。言ったの。
その時さ、倫子は丁度あんたの何度目かのヒロインやってて、
皆それがあったし、夜中のハイテンションで爆笑だった。
倫子はまあ、隅っこで丸まって寝てたけど……」
「そうだっけ」
しらを切っても無駄なくらい、真っ直ぐに見つめられた。
そうだ。忘れるわけがない。あれは確かに、そういう宣言だったのだ。
……ていうか何で、覚えてるんだよ。
「本気だったでしょ」
ずばり、千鳥は言った。
何で分かるんだよ。
「図星って顔してるよ」
返す言葉も無かった。
「ねえ、もう一個訊いていい?」
「……」