空き瓶ロマンス




「言うの、怖い? 

じゃあ、ちょっと家の話してあげるわ。


……私の弟ね、ホルモン剤飲んでるの。



勝手に海外からネットで海外から輸入して。




意味分かるよね? 

私の弟は、……女の子になろうとしてるんだよ」


「え……」

「嘘じゃないよ。

ほら、これが弟の写メ。

私の部屋で、こっそり私の服着せて、撮ったの。

パパやママには内緒で。


秘密のファッションショー……。ほら、この写真もそう」


千鳥の携帯電話のデータフォルダには、千鳥の言った通り、中性的な面立ちの少年が繰り返し、繰り返し笑顔で写っていた。


最初は、体型に合っていない、ぶかぶかの学ラン姿。

その次は、花柄のワンピース。

その次は、ピンクのセーターに、ギンガムチェックのキュロット姿。

時々、リボンの飾りが付いたヘアピンなどの小物を身に着けているのも分かった。


この、解放されたような、少女少年の幸せそうな表情を見て。


ふざけているのではない事が、


本当に嬉しそうにしている事が良く分かって。


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