空き瓶ロマンス
「親の薦めを、断れなかったんだ。ただでさえ、後ろめたくて……」
「ハーレム?」
「そうでもない。いくら女の子ばっかでも、皆が皆、美人なわけじゃない」
「失礼しちゃうわ」
「まあ、聞けよ……」
女子校の女の子は、皆女の子女の子してるというより、
大半は男子みたいにあっけらかんとして、結構やんちゃでうるさかった。
「それは、うちの学校だけかもしんないけどね……」
「うん」
でもちょっと、安心した。
うっとくる制汗スプレーの甘い匂い、
誰がどこの誰と付き合ってるの付き合ってないの、めんどくさい話。
化粧品に可愛い小物。
女の子って、そういうだけの生き物じゃなかった。
「一年の時の新歓で演劇部の劇をみた時、
自分はあそこでなら、本当の自分になれると思ったんだ。
男の子をやってた先輩の役作りは、……言っちゃ悪いけど、やっぱ微妙だった。
だって先輩は『女の子』なんだ。難しいんだよ」
「つまり、チャコの男の子役が格好良いのは、素でいられるからって事?」
「なのかな」