空き瓶ロマンス
倫子とは、舞台の上で何度も恋人同士になった。
劇のテーマはやはり、恋愛ジャンルも多い。
それを全面に押し出してなくても、主人公とヒロインは仲良くなりました、ちゃんちゃん。みたいなのは普通で。
「気付いたら、好きだったんだ。
無邪気で、素直なあいつが。真面目なのに、おっちょこちょいでさ。
あと照れ屋で、頑固」
言いながら、チャーキーは笑っていた。
それを見た千鳥の胸がちょっと、痛んだ。
「何で、自分は男じゃないんだろうって。
サラシで胸をつぶしても、メイクで男顔にしても、違うって分かるんだ」
今もサラシは巻いている。
ブラジャーは、買っては貰ったが着けた事は無い。
毎日、疑われないように洗濯機に放り込むだけ。滑稽だ。
隠し続けるには、重すぎる。
「もし自分が男だったら、女子校に通ってる倫子には会えなかった。
でも、でも、って思うんだ。
もし男だったら、倫子を本気で口説いた。
そんで上手くいってたら、付き合うのも、キスするのも、俺だった……」