空き瓶ロマンス
だけど自分は『女』だったから、諦めた。
倫子は、いつも傍にいた。
けど、絶対届かないから。
だから、倫子を幸せにしてくれる誰かが現れたら、その人にあげるしかないんだ。
可愛い、倫子を。
「……あーもう! おめでとう、どっかの誰かさん、てな。
……ちくしょー、幸せになりやがれだ……!」
「もう、暗いなあ……」
「あ?」
「私ね、弟が……初めてしょうちゃんが、
『この事』を打ち明けてくれたのが私だったから、
完全にしょうちゃんはもう私の中で『妹』なのね。
さっきは、便宜上『弟』って言ったけど」
「うん」
千鳥は、弁当箱を置くと、すくっと立ち上がった。